キャッシングの申込みの際に必ず必要になるのが身分証です。貸金業者は犯収法(犯罪収益移転防止法)で身分証の確認方法が指定されているので業者もその法律に従って審査をすることになります。法律で決まっているのでキャッシングを申込むと違法な金融業者以外は最低でもこれから説明する身分証の確認作業をします。
また業者によってはこの法律で決まっているもの以外にも提示を求めることがあります。これは融資を申し込む人の中には他人名義でお金を借りようとしたり、身分証を偽造して架空の人物になりすましたりする犯罪者が少なからずいるためで、あなたが悪い人でなくても念の為に他のものも見せてくださいと言われることもあるのです。審査をスムーズに進めたい場合は、できるだけ本人と確認できる資料を用意してから融資の申込みをしましょう。
犯罪収益移転防止法とは?
犯罪収益移転防止法の目的
犯収法(犯罪収益移転防止法) は、主にマネーロンダリングなどの犯罪を防ぐために、銀行・保険・証券・貸金など金融に係る業種やなどの特定取引業者が顧客と取引する際の規則を定めた法律です。平成19年にできたあとで何度か改正をされています。
銀行や証券業などは主な目的であるマネーロンダリングなどに利用されないように顧客を確認しなさい、キャッシングやキャッシュカードの作成時ならなりすましとか偽造してる相手に金を渡すな、質屋なら盗品などを買い取らないように注意しろ。つまり「客が悪いことができないようにちゃんと確認しなさい」ということですね。

確認方法
犯収法では身分証の種類や確認の方法を色々と決めています。ここをご覧の方に関係があるのは、個人が消費者金融で借りる場合になると思いますので、そこだけ説明していこうと思います。
顔写真がある身分証
運転免許証・運転経歴証明書、在留カード、特別永住者証明書、個人番号カード、(住民基本台帳カード)、旅券等身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳、戦傷病者手帳 その他の写真有り証明書(※1 顧客等本人から提示されたもの)(※2 一枚限り発行されるもので、代表者等から提示されたもの) |
顧客が外国人(日本国籍を有しない自然人で、本邦に在留していないもの)の場合、上記のほか、日本国政府の承認した外国政府又は権限ある国際機関の発行した書類であって、本人特定事項の記載のあるもの |
顔写真がある身分証の場合は、上記の身分証が有効です。顔写真がない身分証よりも信用度が高いので本人確認がスムーズに進みます。ただしコピーやスキャンしたものはだめ。店頭で申し込む場合は、現物を渡してその場でコピーを取られます。インターネットの場合は、本人確認用のソフトなどで撮影する方法が一般的です。これは身分証を偽造したり、ネット上でだまし取った画像などを悪用して申込む犯罪者がいるため、その対策として採用された方法になります。
これ以外の顔写真のある身分証はというと、国や自治体などの公的機関が発行したものは有効な場合もありますが、そこは業者によって対応が分かれるので、融資を申込む際に聞いてみたほうがいいでしょう。パスポートは古いものは住所の記入欄もあるので認めているところもありますが、2020年2月4日以降に申請されたパスポートには住所の記入欄がないので本人確認資料として認めない業者がほとんどです。
また民間で発行された顔付きの身分証、例えば社員証、学生証、民間の資格カードなどは国が本人確認の資料として認めていないのでまず通りません。(ただ上記の顔写真付きの身分証が用意できない場合に、補足資料として提出を求められることがあります。)
顔写真がない身分証
印鑑登録証明書(※特定取引等に係る申込み等の書類に顧客が押印した印鑑に係るもの) 国民健康保険、健康保険、船員保険、後期高齢者医療若しくは介護保険の被保険者証、健康保険日雇特例被保険者手帳、国家公務員共済組合又は地方公務員共済組合の組合員証、私立学校教職員共済制度の加入者証 国民年金手帳、児童扶養手当証書、特別児童扶養手当証書、母子健康手帳 |
印鑑登録証明書(B欄に掲げるものを除く)、戸籍謄本・抄本、住民票の写し、住民票記載事項証明書その他の写真有り証明書(※1 複数枚発行されるもので、代表者等から提示されたもの) その他の写真無し証明書 |
顔写真がない身分証は、それが本人のものかその場で確定することができないので何枚提出してもそれだけでOKにはなりません。法律で本人の住所に転送不要郵便を送付して追加の確認をしないと契約できなくなっています。この場合は、郵便物が届いてから契約が可能になりますのでその日は融資を受けられません。可能な限り写真付きの身分証を用意しましょう。
期限切れの身分証はだめ?
社会保険証は有効期限がありませんが、それ以外の身分証はたいてい有効期限というものが設定されています。これは読んで字の如し「この日までは有効です」ということですので逆にいえば「この日以降は無効です」ということになります。「無効」ですから、身分証としては使えません。またすでに本人確認が終わって取引をしている相手から「有効期限が切れているので新しいものを提示してください」と言われることもあります。面倒ですが法律で決まっていることなので、有効期限切れを指摘されたらちゃんと対応をしましょう。
身分証が用意できない
お金に苦労する生活が続いていると身分証が用意できないという人も少なからずいます。忙しくて更新を忘れ期限切れで失効してしまったとか、引っ越したが住民登録を移動するとバレるので新しい身分証を作れないとか。
ただどんな理由があっても身分証がなければ普通の貸金業者はもちろん闇金だってお金を貸してくれません(多少審査がゆるいところはありますが、本人か証明できなければどうにもならないのです)
どうしていいかわからない場合は、融資を受けたい業者に問い合わせてみましょう。問い合わせだけなら本名を伝えなくても匿名で大丈夫です。
まとめ
- キャッシングの際の本人確認の方法は法律で決まっている
- 運転免許証、住基カード、在留カードなどの公的な写真付き身分証があれば一番速い
- 上記の写真付きの身分証がない保険証や年金手帳などの場合は、郵便物を受け取らないといけないので当日は無理